武道 第8回福岡実践塾セミナー2013/01/15 

2012年11月24(土) 、第8回福岡実践塾セミナーが行われた。

一昨年、初めて宇城塾長を福岡の地に迎え、早くも8回目の稽古会開催となった。
稽古の前に「楽水園」という日本庭園に塾長をご案内した。この場所は明治39年に博多商人、下澤善右衛門親正(しもざわ ぜんえもんちかまさ)が住吉別荘を建てた跡地で、しばし休息の間にお茶を頂いた。そこで塾長は、「沖縄の空手は四畳半で稽古していた。場所がないから稽古できないという理屈は通用しない。狭さの中から絶対的な自信を培い、そして外に向かうことが大事」と述べ、自宅でも気づきがあれば夜中であっても道場に入って技を確認し、そのまま夜が明けたことも何度もあるという話をされた。「型は四畳半、組手は外。」「どんなに道場が広くても四畳半が核となっていく。」その言葉から世界へ向かって活動する塾長の原点を学ぶことができた気がした。
福岡実践塾の稽古場である久山町の体育館に移動し、稽古会が始まった。まず、塾長が推薦する本の紹介があった。脳科学者の中野信子さんが書かれた『脳科学から見た「祈り」』という本は、塾長が常日頃、私たちに繰り返して指導する「心と身体」に関する事実を科学的に解明する端緒となりうる本ということであった。



脳科学に関する書籍を塾生に紹介する塾長


塾長はその本をもとにし、いくつかの貴重な話をした。「認知症は海馬の萎縮。海馬を萎縮させる大きな原因は脳内物質。怒り、憎しみはノルアドレナリンを大量に分泌する。この物質はラットに注射すると即時死亡させるほどの猛毒で、海馬を萎縮させる大きな要因になる。一方課題に前向きに対処しようとすると海馬を発達させるβエンドルフィンを分泌させる。年齢を重ねても問題解決に立ち向かうと海馬は発達し続ける。引退して全てのトラブルから解放されると途端に海馬は萎縮し始め認知症が発症し易くなる。」
「祈りは脳科学からみて非常に重要。ただし祈りは惰性に陥りやすくその効果は薄れてしまうが、型は行うごとに新しい気づきがあり、理想的な祈りの姿である。」
さらに、脳科学最大の発見ともいわれるミラーニューロンについても触れ、自分の行為と他者の行為を鏡に映したように表現するミラーニューロンが注目されるのは、それが「他人の心を読み取る」という脳の大切な機能を支えているのではないかと推測されるそうである。塾長が私達に気を送り、「できる自分」と、「できない自分」の違いを明らかにすることもこのミラーニューロン理論に関係があるのかもしれない。

それまでの話を受け、今回の塾長の指導は、主にミラーニューロン理論の具現化であると考えられる、「気を入れる」指導を中心に行った。スクラムを組んだ大勢の男性を女性が押して倒す、並んだ列を掌をすりあわせた状態で引っ張って動かすなどの検証が次々に行われていった。中でも、帯をしっかりとつかんでいる人の列を掌で誘導する検証は、それぞれが確実に体験できるように、交代しながら、塾長に気を通していただき、一人ひとりが「できる自分」と「できない自分」の違いを体感していった。



塾長の指導で、男性のスクラムを押す女性



片手で数人の列を引っ張る指導する塾長


また、支部長が塾長と組手を行った際に、塾長の軽く放った突きが支部長の脇腹に入るということがあった。実際に見ていた我々には、突きが放たれていたことも目で捉えることはできず、塾長が支部長の攻撃をかわされたとだけしか見えなかったのである。突きが入っていたということは、ビデオで後から確認して初めて分かったことであった。しかし、そのとき支部長は、しばらくその場で身動きできなくなり、呼吸すらままならぬ苦しい様子で動けなくなっていた。塾長の気を乗せた突きがいかにすさまじいものであるか、改めて認識させられた瞬間であった。



メリケンサックをはめた相手に対して”守る”ことを実証する塾長


張り詰めた中にも温かさが漂う稽古が終了した後、懇親会が開催された。懇親会の場でも沖縄の問題、原発の問題など現在の社会問題を塾長はどのような視点で捉えられているかを学び非常に勉強になった。そんな中で特に塾長が強調されていたのが、問題における一つの側面のみを取り上げて全体を論じようとするマスコミの在り方についてであった。そうしたマスコミを厳しく批判されるとともに、私たちがそうした一方的な情報に振り回されないことが大切であると説いた。

また今回、懇親会で非常に印象に残る二つの出来事があった。ひとつは、塾長の助言を得てそれまでの勤めを辞め、農業で新しい人生を歩むことを決めた福岡実践塾生が、自分で育てた野菜を塾長に是非にと持参した際、塾長はいきなり生の大根を「うん、うまいうまい」とかじり、その塾生が非常によろこんでいた様子であったこと。また病のためしばらく稽古に参加できなかった塾生が「なんとか塾長に会いたい」と懇親会に参加し、「大丈夫、大丈夫」と何度も塾長から声をかけられ元気がでた様子であったこと。これらの出来事を踏まえ、懇親会が稽古であることの意味をあらためて実感した。



塾長に力強く励まされる塾生


今回の稽古会も、塾長の大きく、かつ温かいエネルギーに包まれ福岡実践塾生は一人ひとりが自らの進むべき道へまた一歩前進した。塾長に学べる幸せを噛み締めながら、さらに大きな飛躍を誓い合って第8回福岡実践塾セミナー幕を閉じた。

水上 栄一 福岡実践塾 

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