武道 第9回福岡実践塾セミナー2013/04/04 

2013年2月23日(土)、宇城塾長を迎え、第9回福岡実践塾セミナーが行われた。

■気は心の向かう所に応じる
稽古会の前に、奈良・平安時代を通じて西の都として九州を治め、西の守りとしての防衛、外国との交渉の窓口として重要な役割を果たした大宰府政庁跡(都府楼跡)に宇城塾長をご案内した。江戸時代の一刀流剣術の祖である伊東一刀斎のことば「身体は内なる気に応じ動き、気は心の向かう所に応じる」−心が変化すれば気が変化し、気が変化すれば身体も変化する。これをテーマに宇城塾長が気による具現化した検証が数々行われた。

男性5人をひとりが引っ張る。当然できないが宇城塾長が「身体は内なる気に応じる。気は心に従う」と言い、「こっちに心を動かせば、気はこっちに従い身体を動かす」と言って、気で男性5人を前後に軽々と動かした。



事理一致の検証。下の女性を守りつつ、男性5人を軽々と引っ張る塾長。


■事理一致の検証
事理一致の「事」は手足、所作、形であり「理」は心、道理、理合い、絶対普遍の事実(=真理)であり、理に従えば気が出ることを身体検証で示された。「植物は土の養分で育つが、人は地球の重力と繋がり重くなってそれが人間力となる」と説かれた。
利き手の検証では皆が驚く結果となった。二人組になり、ひとりが左右の手の指をとっさに自然に組み、後ろから持ち上げられると重いが、次に指を不自然に先程と逆に組み、持ち上げられると身体が軽くなる。腕組みも同様の結果になった。宇城塾長が世の中、右利きの方が便利だという理由だけで子どもの左利きを無理に直そうとすると、精神的障害まで起こすことになる例を示された。

この不自然な動作に対する違和感は頭が感じるのではなく、身体が感知する。ところが宇城塾長が気を入れると、自然体で手の指を組もうが逆に組もうが関係がなくなってしまう。どちらも身体が強くなり、重くなった。大きな気で包まれると、右利き・左利きに関係なく、その子にあった適切な指導ができるが、現実は高学歴者、金メダル獲得者、大学教授などの意見に感化される思考にさせられて気が通らなくなり自分を守れなくなってしまっていると指摘された。

■愛は言葉ではなく、行動である
人は自分の気を持たない限り、知名度が上がり、肩書き、権力をもつとおかしくなり、嘘やハッタリがはびこり、正直者がばかを見る時代になる。「今、まさに日本の歴史上人間のレベルが最も低い状態である」と指摘された。
次の検証では二人組になり、ひとりが頭を無にして手を合わせて相手が持ち上げたら重い。お金が貯まりますようにと願えば、身体が軽くなる。皆が幸せになりますようにと、手を合わせても身体が浮いた。それは頭だけで思っているだけの偽善に過ぎないと言われた。何か行動した時に心が生まれるのであり、心は先には生まれない―「愛は言葉ではなく、行動である」ことの証しである検証であった。

■型に心をのせる
稽古会の後半は、サンチン、ナイファンチンの型に気を乗せた検証を行なった。



手を合わせて、頭で願うと身体が軽くなる。ただ手を合わせるだけ(行動)で心が生まれる(身体が重くなる)


「初級者は100%外面重視の稽古だが、中級者は内面40、外面60であり、上級者は内面80、外面20、達人に至っては内面100である」と言われた。サンチンの型の中で運足や腕受けをするたびに身体が浮くのは心がない証拠であると指摘された。自然体で何もしない「静の状態」では外面と内面と一致した状態を作れても、何か動作をするときは浮いている。
塾長がサンチンの型をされたら空気が変わり、二人組のひとりが腕受け(動の状態)で相手を倒すことができた。あくまでも頭で考えて型をするのではなく、型に心があれば、頭は無になり、気が通るとのご指導だった。



サンチンの型を使っての指導。


ナイファンチンの型を使った検証では、4人一組になり、ひとりが前に立ち、ひとりが跪いて立った人の膝を押さえる。膝を押えたひとを二人が後ろで支える→立って膝を押さえられたひとがナイファンチンの型で膝をおとし、3人を倒せるか。→当然できないが、塾長から膝に気を入れられることによっていとも簡単に3人を倒せる。
次いで全員立って三人と向かい合ったひとりが先程と同じく膝をおとし、3人を横に倒せるか→これも不可能だが、塾長が心を入れてここに倒すと思う所に倒した。この状態が統一体であり、気が流れ、気は心の向かう所に応じることを体現された。
こうして心の発動が人を成長させ、技となり、形となる(形とは品格、品性)。「心の発動」こそが、自分を変え、まわりを変え、全てを幸せにしていく」と言われた。 平和の原点は一人ひとりの心の発動にあり、ひとり革命にあるとあらためて思った。

サンチンの組手の稽古では、腕受け突きの際、腕受けはしっかり肘を入れて自分を守ること、突きはあてる突きでは浮いてしまうことなど、基本的なことを時間をかけて丁寧にご指導いただいた。そしてわれわれの稽古の甘さを指摘された。この武術に男も女もないとの塾長の言葉に、女性が多い福岡実践塾だが、力も筋肉も不要の調和・融合の宇城空手は男女の差がないフェアな世界であることを再認識した。



腕受けの指導


稽古後の懇親会は二日市温泉の旅館にて、宇城塾長の励ましにより昨年の大手術から無事に生還した塾生の闘病生活の報告を中心に和やかな雰囲気の中で行われた。


懇親会にて。塾生を激励する塾長。


■さいごに
今回の塾長稽古会は冒頭に述べたように、「心あり」がいかに大事であるかのご指導であった。一刀斎の「たとえ技が優れていても真心という道理を持たなければ勝利を手にはできない……」という言葉を引用されたが、武術に不可欠な真心=守ること=愛=信頼関係とは人間社会に一番求められている平和の大原則である。
「世界中で平和を望んでいるが、その術を知らない。だが武術はそれを教えてくれる」との宇城塾長の言葉に、気で調和する世界を体現し、われわれに皮膚感覚で伝えてくださる偉大なる師を持てたことの幸せを、あらためてかみしめた稽古会であった。

福岡実践塾 長野陽子

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