武道 第10回福岡実践塾セミナー2013/06/06 

2013年4月27日(土)久留米市にて第3回審査会および第10回稽古会が開催された。
審査会では初めての受審者11名も含め、全員が進級した。審査結果発表後に塾長は、「級に一喜一憂するのではなく、自分の垢を落とし、逃げる心から卒業することが大事である」と述べた。

砂漠に咲く孤高の花の美しさは、誰かに見られようとして咲いているわけではない崇高さにあり、人間もそう在りたい。せっかく完成形でこの世に生をうけた我々が、わずか80年余の人生をいかに大事に生きるか、砂漠の花のように在りたいという気持ちを持つならばその理想を実現することが大事である。自己を磨き、自分が変わることにより、まわりが変わっていくことが成長の証しであり、一人革命の証しである。そこに向うスタート地点であるという言葉をいただき、稽古会が始まった。

最初は、左右に男性7名がしっかり前の人の腰をつかんだ状態で並び、その列の真ん中に立った塾生が真横の2人の手を握り、14名を前に動かそうとするができない。塾長が「今の常識ではいくら筋トレをしたところで不可能だが、一歩世界が変われば…」と14名を動かした。



左右の手を数人に掴まれた状態で軽々と前に歩く塾長





塾長は「手を握る必要はない」と次に左右のふたりの立てた親指に上から手を添えるだけで軽々と全員を動かした。



左右の手で相手の親指に触れた状態で、全員を一つにしてまえに歩く塾長






塾長が通す気で何事も可能になるが、この場合、2人の立てた親指が折れそうになることにより、そのふたりが必死になった(気が通った状態)結果、皆を動かすことができたのだ、と塾長が説明された。私たちができないのは自分が必死のつもりでも、それは頭で考える精神論にすぎない。会社で先頭に立つ人が強引に引っ張っても人はついてこない。塾長は「気が通ることの大切さ」を改めて示した。

「気が出ない」ということは、「呼吸が止まっている」ということ。皆、立っているだけで呼吸が止まっていると塾長が指摘した。ボールを使った検証では、握ったボールを取られまいとすれば呼吸が止まるし、体ごと相手に持っていかれる。「取られまいと握る必要はない、相手と調和すればいい。軽く握れば相手に入れる」と塾長は、ボールを握るのではなく、指で押さえた状態で相手はボールを取ることができなかった。



塾長が指で軽くボールを抑えるだけで、相手はボールを取ることができない


取らせまいとすることで意識がそこに居つく→呼吸がとまる→気が通らない。欲を捨てて「どうぞ」と相手を受け入れて調和することこそが、大きな意味で平和の原点であることを実感した。

塾長の脇腹に、列になった先頭の人が人差し指で触れた状態で、塾長は5人を動かした。



脇腹に触れた相手を、列ごと軽々と動かす塾長



人数が増えても関係なく、より勢いがつき自由自在に列を動かす塾長


これは調和であり、気の流れであり、身体の呼吸で人がついてくるのだと説明した。スポーツだと1:5人は勝ち目がないが、調和して気で動かすには1:100でも1:1,000でも多いほど楽である。人が調和して助け合い、その輪を広げる。これが平和の論理である、と説いた。

別の1:3人の検証でも力づくでは引っ張れないが、そっともう一方の手を先頭の人の肩に添えれば難なく人はついてくる。気は心であり、心は身体を動かし、身体は気に応じて動く。しかしながら現実は、一番わかっていない指導者が強引に引っ張ろうとする。その結果、今の教育、スポーツ、しごき、体罰はセットになっていると指摘された。

日常生活の中で「お先にどうぞ」の心で、相手に入ることができても、組手で相手が攻撃の構えをしただけで私たちは呼吸が止まってしまい、「お先にどうぞ」は利かないことも検証された。塾長に気を通していただき、攻撃してくる相手の横に体を移動して相手の肩に片手を添えると柔らかい感覚になる。その柔らかさから瞬発力が出ることを示していただいた。その瞬発力が出ると恐れがなくなり、前に進める。恐れは人間を一番弱くし、閉じこもる・固まる・呼吸ができない。これらは全部自分で作った病気であると指摘された。



「お先にどうぞ」の心で、列を動かす塾長




「気」の指導により、塾生も次々と相手に「入る」ことができた


単なる生きるための呼吸ではなく、身体の呼吸がいかに大事かということを、今回の稽古会を通して宇城塾長は示した。

【さいごに】

何度経験しても緊張する審査会であるが、福岡実践塾生全員が審査会に向かうなかで、その先を見据えて一丸となり、師にお応えしようと誓いあってきた。ニューヨークから帰国されたばかりで大変多忙な塾長には、終始慈愛の眼差しで私達の空手を見守っていただき、大変に充実した審査会を経験することができた。


審査会後集合写真


今回の稽古会では、「人間は調和でしか動かせないこと」「呼吸の大切さ」を学んだ。
師の教えを無意識層に入れ込む努力を日々怠らず実践していくことこそ、われわれ福岡実践塾生の使命であるとあらためて思った稽古会であった。
稽古会の中で、塾長は「欧米の人たちはセミナーで考えられない体験をしたら、一瞬にして今までの自分を捨て、人生を変えたいと反応が速い。今変わらないと取り残されていくことを彼らは知っているのだ」と述べた。平和ボケした日本人のスピードの遅さと既成の制度や概念に固執する姿は、今の日本企業の衰退が象徴している。
審査会・稽古会後の懇親会・祝賀会は久留米市内のホテルで行われた。昇段者、進級者のスピーチと塾長との和やかな歓談のうちに終了した。



懇親会の模様





福岡実践塾 長野 陽子

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