武道 夏休み福島子ども保養企画レポート2013/09/02 

2013年8月19日(月)〜21日(水)、2泊3日の日程で「夏休み福島子ども保養企画」を実施しました。

1.概要
■参加者
○福島市在住
保護者3名(お母さん2名、お祖父さん1名)
お子さん4名(中学生1名、小学生3名) 計7名
○UKあすなろの会
平田寛之、佐藤真理子(東京実践塾)
佐田恵子(東京道塾)
梅津國蔵、小野広暁(福島実践塾)  計5名
○新潟県立新潟県央工業高等学校 生徒3名
合計15名

■活動概要
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により環境放射線値が高くなっている福島から離れ、夏休みの思い出づくりを通して、子ども達とその保護者に元気になってもらうことを目的として、新潟2泊3日の保養の旅を実施しました。

2.活動の詳細
8月19日(月)
[08:00]JR福島駅西口に集合し、借り上げバスに乗り新潟に向かいました。



福島を出発。(福島県福島市JR福島駅西口)


[11:57]宿泊と活動の拠点となる新潟県村上市の交流の館「八幡(はちまん)」に到着しました。長距離移動の疲れも見せず、子ども達は元気いっぱいで、これから行われる活動への期待に目をキラキラ輝かせていました。



交流の館「八幡」に到着。(新潟県村上市)


[13:30]昼食後、チェックインと休憩をはさんで海水浴を行いました。交流の館「八幡」から徒歩10分の場所にある「碁石海岸」へ移動しました。道が開け、目の前に広大な海が広がると、みんな大きな歓声を上げ、子ども達は海に入るのが待ちきれない様子で浜辺に走っていきました。



美しい日本海。(新潟県村上市碁石海岸)


子ども達はライフジャケットを身に着け、あすなろメンバーと一緒に波乗りや砂遊びを浜辺でスイカ割りを行いました。



波乗りをして遊ぶ子ども達。




浜辺でスイカ割り。


[15:30]交流の館「八幡」へ戻りました。夕食までの間、休憩・入浴の予定でしたが、子ども達は早々に入浴を済ませ、あすなろメンバーの部屋に集まってきました。あすなろメンバーが持参した「人生ゲーム」を見つけ出しゲームを始めました。一日の活動の疲れを見せない子ども達のパワーに圧倒されながらも、夕食までの間、一緒に楽しく遊びました。

[18:00]交流の館「八幡」内の食堂「かがり火」で夕食を取りました。
夕食後、全員で近くの川辺に行き、花火を行いました。空には美しい月が出ており、我々の足元には月影ができるほどの明るさでした。



近くの川辺に行き、花火を行う。


[20:00]交流の館「八幡」は廃校となった中学校を改装したユニークな宿泊施設です。食堂は元職員室、お風呂場は元技術室、各宿泊室は元教室と、だれもが知っている古い校舎の雰囲気がそのまま残っています。花火の後もあすなろメンバーの部屋に集まってきた子ども達に、メンバーの一人が「学校の怪談」を聞かせました。学校の雰囲気そのままの建物で聞く怪談に、初めのうちは強がっていた子ども達でしたが、怪談を聞いた後は、みんな素直に部屋へ戻っていきました。

[21:00]就寝しました。

○8月20日(火)

[07:30]交流の館「八幡」内の食堂「かがり火」で朝食を取りました。

[09:00]交流の館「八幡」内の「いろりの間」で「統一体体操体験」を行いました。宇城塾長の著書「心と体 つよい子に育てる躾」で紹介されている検証を、子ども達と保護者の方々と一緒に行いました。

・作法で身体が強くなる検証



脱いだ靴(スリッパ)をそろえないと身体が弱くなり、腕を上から抑えられると下がってしまう。




脱いだ靴(スリッパ)をきちんとそろえると身体が強くなり、腕を上から抑えられても下がらない。


・心の状態で身体が強くなる検証



「1+1=2」と正しい答えを言うと身体が強くなり、腕を上から抑えられても下がらない。




「1+1=5」と嘘の答えを言うと身体が弱くなり、腕を上から抑えられると下がってしまう。


最初は恥ずかしがって、少し遠くから見ているばかりの子ども達でしたが、次々と紹介される検証に目を輝かせ、私も、私もと前に出てきて、実際にその身体で体験し、大きな歓声を上げていました。



子ども達が体験する。


また、保護者の方も、実際に体験すると、子どものように目を輝かせ、「できた」という事実から湧き出すエネルギーに明るく元気になっていたようでした。そして、家庭での躾を振り返り、検証を体験した感想を話し合っていました。



保護者の方も体験し驚く。




統一体体操体験の後に、子ども達と保護者の方の感想を模造紙とポストイットに書いていただく。


そこには素直でエネルギーに満ち溢れた感想が書いてありました。
「ちゃんとからだでわかるんですね」
「スゴイよ!スゴイよ!」
「ちゃんとじぶんでひろうとつよくなって、ひとにゆわれるとひろえなかったのがすごい」
「親子の関係についても考え改めるきっかけになって本当に良かったです」
「はきものをそろえる、あいさつをきちんとする。意味があるんですね」
「〜しなさい!!おさえつけると体がかたくなって、力がでない」
「福島で苦しんでるママ達にも体験させたい」

この直後から子ども達の行動が変わっていきました。

[12:00]交流の館「八幡」内の食堂「かがり火」で昼食を取りました。ここから、宇城野球塾で塾長の教えを受ける新潟県立新潟県央工業高等学校野球部の生徒さん3名が合流し、活動のお手伝いをしてくれました。

[13:00]交流の館「八幡」内の「ふるさと体験研修室」で、講師をお招きし、体験教室「松ぼっくりふくろうづくり」を行いました。この地方では「ふくろう」は「不苦労」と昔から言われている縁起物で、害虫を駆除してくれる益獣だそうです。松ぼっくりの底部を顔に見立て、工具を使って「ふくろう」の姿にカットし、目や足などをボンドでつけます。「ふくろう」を稲穂や木の枝をつけた台に乗せ、最後に立札にメッセージを書いて完成です。 講師の先生は「このメッセージを書くのが一番大事な作業だよ」とおっしゃっていました。子ども達は「おかあさん いつもおいしいごはんをありがとう」「すばらしいたいけんをさせてくれてありがとうございます」と、思い思いの素直で素晴らしいメッセージを立札に書いていました。







体験教室「松ぼっくりふくろうづくり」。高校生が子ども達のお伝いをしてくれた。




完成した「松ぼっくりふくろう」




完成品を手に記念写真。


[14:30]浜辺に散歩に行きました。早朝に強い雨が降ったこともあり、川から茶色の水が流れ込み海は濁っていましたが、子ども達は靴を脱いで素足を波に浸し、高校生達と水切り(石投げ)やボール遊び、砂遊びを楽しみました。



浜辺で高校生達と遊びました。


[16:00]高校生の帰宅時間となったため、交流の館「八幡」に戻り、子ども達と記念写真を撮りました。



高校生と子ども達との記念写真。


電車で片道3時間もかけて来てくれた新潟県央工業高等学校の生徒達。短い時間でしたが、福島の子ども達の心にやさしく触れてくれました。そのたたずまいや言葉づかいに、とても落ち着いたものを感じました。子ども達はお別れするのが悲しいようでしたが、高校生のお兄さん達に「ありがとうございました」としっかりとしたお礼をしていました。

[18:00]休憩・入浴をはさんで、交流の館「八幡」内の食堂「かがり火」で夕食を取りました。
夕食後、子ども達は「いろりの間」に集合し全員で遊び、あすなろメンバーは保護者の方と交流会を行いました。この日、甲状腺がんと診断された福島の子どもが18名になったことが報道されたこともあり、保護者からは環境放射線値が高い福島で子どもを育てることに、親も子もストレスを感じているとのお話を伺いました。それでも子どもは根源的な所で素直で純粋なままであるということでした。そして、本当に困っている人々の思いが伝わらないまま、数多くの「心なし行政」「心なし復興事業」が展開されていること、そんな状況でも福島に暮らす自分達自身が行動しなければならないことなど、心からのお話を伺うことができました。

[22:00]就寝しました。


○8月21日(水)

[07:30]交流の館「八幡」内の食堂「かがり火」で朝食を取りました。

[08:30]交流の館「八幡」を出発し、JR羽越線で名勝地「笹川流れ」のある桑川駅に移動しました。



美しい「笹川流れ」の風景を見ながらJR羽越線で移動。







[09:30]桑川駅から徒歩10分の美しい浅瀬と神社のある海岸で海水浴を行いました。この海岸は波も穏やかで、浅瀬には多くの海の生き物が生息しており、子ども達はカニを捕まえたり、水中の魚を観察したりして楽しみました。



海の生き物観察を楽しむ。




浅瀬で20センチほどのカニを捕まえました。カニは観察した後、逃がしました。


[11:00]JR羽越線桑川駅に隣接する道の駅笹川流れで昼食を取りました。

[12:00]借り上げバスに乗り、福島への帰路につきました。

[16:45]福島駅西口に到着、解散しました。



3.さいごに
福島で生活することには、放射線による健康被害の不安が付きまといます。子供を思うあまりに心のどこかで常にストレスを感じています。親の心のいらいらや不安により、素直で純粋な感受性を持つ子どもが受けるストレスは我々の想像をはるかに超えていると思います。

今年7月に、震災後、福島県内の小学校1年生から高校3年生男子の体力・運動能力の低下が顕著であるとの調査結果が発表されました。専門家は「原発事故による屋外活動の減少が影響していることは否定できない」と分析していますが、その原因は分析などしなくてもわかることです。健康被害が怖くて、元気な子どもが当たり前のように外で、砂や泥で体を汚して遊ぶことができなくなってしまったのです。これは危機管理能力も廃炉にする技術もないまま原子力発電を推進してきた国と電力会社、そして何も考えずに安い電力の恩恵を受けてきた我々国民全体の責任です。

今回の「夏休み福島子ども保養企画」では、子ども達の素直さと変化の速さに心から驚かされました。「統一体体操体験」直後から、あいさつをきちんとする、食事のときは正座をする、脱いだ履物をそろえるなど、体験したことを実践していました。子どもは本質的に素直で純粋な存在です。物事の正しい道に触れたとき、子ども達の目は輝き、行動が劇的に変化します。誰かに言われてやろう、変わろうではなく、実体験により自ら変化・成長するのです。これは大人のように頭で考え、どこかで損得を計算して行動するのとはスピードもエネルギーも桁違いに違うのだと感じました。

今、我々大人が子どものためにできること。それは子どもの持つ可能性を大切に育むことだと思います。そのためには、我々大人が現状を謙虚に認め、反省し、変化成長することにより、子ども達に正しい道と未来への希望を示さなければならないのだと強く感じました。



集合写真


東京実践塾 佐藤真理子 
福島実践塾 小野広暁 

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