武道 創心館 長野実践塾 審査会・合宿レポート2015/03/22 
2015年3月14日(土) 長野県辰野町において、宇城憲治塾長 宇城拓治師範代の審査・指導のもと長野支部少年部審査会を、また翌15日にかけて各支部からの参加者による、第19回創心塾長野実践塾合宿が開催された。
 
審査会終了後、宇城塾長は少年部の子供達とその家族を前に、本来子供が持つ力をしっかりと認識し、教育していくことが重要であることを、実践を通じ説明した。

はじめに、キャスター付きの机の上に座った人が、塾生の列を押す検証が行なわれた。
全員が想像したとおり、座った人が力を入れて押せば押すほど、その反動でキャスター付きの机が動いてしまった。



列はびくともせず、座った側が反動で動く。


しかし、宇城塾長が押すと、逆に机は全く動かず、最後尾まで力が伝わり大人の列が動かされてしまった。



波動が最後尾まで伝わる。


塾長は同じことを子供に行なうよう指示すると、子供は簡単に大人の列を押してしまった。
また少年部の子供達全員が同じように、大人と衝突することなく押すことができた。



力を使わず、簡単に押すことができた。


「子供にできて、大人にできないこと」を通じ、塾長の技を学ぶヒントとして捉えようとするものの、塾長が毎回指摘する「常識という思い込み」がいかに強く染み付いていることをあらためて痛感した。

塾長は続いて、大人2対4の綱引きを行なわせた。はじめる前に塾長は、どちらが強く引っ張れるかを子供達に尋ねたところ全員が人数が多い方と答えた。



子供達の予想とおりの結果になる


しかし、次に塾長が帯を触れた瞬間、一人のみで均衡が保たれ、さらに引っ張り勝ってしまった。



塾長が触れると、一人で4人を引っ張ることができた


「学校が教える答えはみんなの予想と同じだが、その常識とは異なる答えがある」
学校教育の過程で、ここで示されたような本来人間が持つ力を「常識」として学ぶことができれば、どれだけ無限の可能性が生まれることだろうか。検証が進むにつれ、子供たちにとっての「常識」が変化していく中で、ガッチリと組んだ列状の大人を押すという検証が引き続き行なわれた。躊躇が全くなくなった子供たちが、一番押しやすい位置を勝手に探し、大人たちを自然に押している姿には驚きを覚えた。



大人が押してもびくともしない




子供達は細かい指導をすることなく、押すことができた。


しかし、子供に「ヨシ」と自ら気合いを入れさせたり、余計な動きをさせると、それまで押せていた子供達ができなくなった。子供を誘導し、押させようとする行為ですらマイナスの教育である、と塾長が指摘した時には参加者全員が、親の子供への接し方についての「常識」を覆された様子であった。

また押すことができなかった大人の後ろから、子供が応援するように触れるだけで、これまで生じていた衝突が消え、急に押す事ができていた。この検証で明らかなことは、子供は塾長の声かけだけで、言わんとすることを自然体で理解できている、いうことだ。いかに大人による余計な誤った導きによって子供が持つ力を失わせてしまっているか、指導、教育のあり方をあらためて考えさせられた。




子供達が持つ、衝突しない雰囲気・力は大人にも伝わり広がっていく

塾長は加えて、この衝突しない・ぶつからないことが、いじめの問題を解く根本であると説いた。

こうした見えない子供の力も、意図的な動作になると、その能力が発揮されにくくなる例を、列状になった大人を引っ張るという検証で確認した。



押すことはできたが、引くことはできない。


しかし、塾長がサンチンの「型」を行うよう指示すると、子供は容易に引っ張ることができた。







雰囲気が変わり、簡単に引っ張ることができた。


本来子供が持つ力の上に「型」を乗せることで、さらにその力を高め、考えられない力が生まれ物事を解決していく姿は、大人が不可能と思いこんでいる多くの問題の解決へと導く可能性を秘めているように思えた。
  
そして最後に、子供が大人の長蛇の列を投げ倒すことで、衝突しない力は人数の多寡に全く関係なく発揮できること、そしてなにより子供の無限の可能性を決定的なものにした。



塾長の投げを素直に映して、投げることができた。


今回の指導で、塾長は何度も「スピード」という言葉を発した。
世の中の動きが激しく、急速に変化し、スピードなくして乗り切ることが難しくなってきている中、その「スピード」は我々の「常識」の概念ではなく、子供が見せた、相手と調和し、大人を動かしたり、倒したりする内面のスピードであり、この力は我々大人が忘れてしまった、学ぶべき能力であることわかった。
いかに常識とされる状況をも覆す力となり、新しい世界を切り開く希望につながる事実を実践を通じて学ぶこともできた。

そして何よりも、宇城塾長のもと伝えられる武術の技、型によって、子供達の衝突のない、潜在力が引き出されたことに大きな喜びを感じた。
競争や試合に偏重した、衝突ばかりを教える大人とその現状が、今の社会の様々な問題の根本要因としてあることも強く感じた。大人が誤った指導を子供達に、絶対に行ってはならず、そうでなければ指導者・リーダーとして、導く資格がないことを理解し、今後も心を引き締め、支部一同稽古に励みたいと思う。

 長野実践塾 内川義行 
ニュース一覧に戻る