ベルリンセミナーレポート
2019年6月22日(土)、23日(日)の両日、ドイツ、ベルリンにおいて、第5回ドイツセミナーが開催された。
ドイツ、ポーランド、ハンガリー、イタリア、フランス、イギリスなどのヨーロッパ各国、および日本、米国などからさまざまな武道歴を持つ参加者が集まった。
初日の稽古
一日目の指導は、サンチンの型によって姿勢と呼吸の大切さを身に着け、中心を知ることに重点が置かれた。
全員よるサンチンの型
塾長の型を写すことで、正しいサンチン型ができると、身体が強くなる。
サンチンの型を写す
型によって統一体となることで身体が強くなる
「NYを含めて今回で6回目のセンナ―の参加ですが、毎回宇城先生には新しいことを学ばせていただいています。先生に一触していただいてのご指導はどんなたくさんの言葉よりも大切であります。身体は理屈抜きに感じています。」(エマヌエル・アルゼンチーノ:イタリア)
姿勢と呼吸が正しくできると、相手に入っていくことができる。
杖による指導
倒れた後も起き上がることができない
「毎回先生にお会いするたびにもっともっとお会いして、もっともっと前進していきたいというやる気や勇気をいただいています。宇城先生は自分が今まで見えていなかったものを見せてくれました。私達は自分自身で身体の限界を作ってしまっていて、宇城先生は完全にそれを超えたものを見せてくれました。みんなの身体にそういうものがあるということを教えてくれたことがとても意義深いです。」(ミッシェル・マルタン:フランス)
サンチンによる内面の状態は、塾長に触れることで頭ではなく身体で理解できる。
腕をつかんだ相手を倒し、手刀を打ち込むときも、身体がまったく変化しない
「2回目の参加です。とても貴重な体験をしました。とても不思議な体験でした。先生に触れると、これまで経験のないようなものを触ったような気がしました。」(フェレンス・フリス:ハンガリー)
両手のしっかり掴まれていても、呼吸により相手の力が抜け、簡単に倒すことができる。
掴んでいる手が消えたようになり、自分の力が入らない
「参加できてとても嬉しい。本当に大事なことは、私の空手に革命がおきたことです。」(フェルナド・ディ・マッティア:イタリア)
「先生に会えたことをとても嬉しく思っています。これまでスポーツ空手しか知らなかったが、宇城先生の空手は全く違う。美しいです。」(ツェラーノ・ステファノ:イタリア)
突いてくる相手に対しても、姿勢と呼吸が正しければ、簡単に対処することができる。
突きが目標を失い、動きが止まってしまう
武道の本質である、相手から遠く、自身から近くを実践する塾長。
塾長に入られた状態
「自分の空手を進化させる大切なことをたくさん学びました。先生の動きは、バラバラではなく常にひとつで動いていました。宇城先生が相手の攻撃に入って、自分を守っている技を見てとても感心しました。それはすべて瞬時の動きでした。」(エルジビエタ・ウォーラック:ポーランド)
二日目の稽古
二日目の指導は、ナイファンチンの型から始まった。
ナイファンチンの型が初めての参加者も多く、何度か行った後いくつかのグループに分かれ、塾長が個別に回って指導を行った。
全員よるナイファンチンの型
ナイファンチンの型を何度か行った後、型の分解が塾長によって示された。
ナイファンチンの分解、組み手取りからの攻撃
相手の攻撃が途中で止まってしまう
ナイファンチンの分解、手刀打ち
「毎回感動しています。宇城先生の空手こそ私にとって本当の空手です。これまで糸東流、和道流、剛柔流やってきましたが、先生の空手とは比べ物になりません。10年前から、私はこういう空手を求めるようになりました。」(ステファノ・ブリニ:イタリア)
内面の状態を知るには、塾長の体に触れることが一番である。
塾長は、型の分解を行い、その時身体がどのような状態になっているかを、触れさせることで示した。
身体の状態は、触れることで理解が深まる
サンチンの分解として、構えの位置からの攻撃を示す。
サンチンの型の構えからの背手刀
「先生の気が医療にも役立っているという動画を見せていただき、とても感銘を受けました。先生のご指導の価値を理解することはとても重要なことです。先生の気によって身体と心がひとつになります。それと同じように自分と他人の境界線もなくなります。先生が私に示してくださった愛情にとても感謝しています。私はこれからも先生のご指導に忠実に守っていきたいと思っています。」(エマヌエル・アルゼンチーノ:イタリア)
逃げていく相手には、後ろ回し蹴りが有効である。
塾長は、回転して相手に背を向けてもまったくスキができず、蹴りがどのように来るのかも察知されることがない。
回転からの後ろ回し蹴り
サンチンの型にある回転時の身体を触れて理解する
フルコンタクト空手の自由組手に対する場合も、まったく同様に対処する。
自由に打ち込んでくる相手への対応
参加者の中でもリーダー的存在の人達は、サンチンのレベルも上がっているので、塾長は各人に対応した指導を行った。
サンチンの型の個別指導
「私に型の個人指導をしてくださいました。セミナーに来る度にいつも先生から宿題をいただいています。5年前初めて参加した時は筋力をつかった力の空手でしたが、先生に出会い、私は変わることができました。これは私にとってものすごく大切なことで、毎回参加するごとに、少しずつステップアップすることができています。
調和の生き方は私にとって素晴らしい生き方です。内面の変化でいろいろな変化がありました。それが家族だったり、友人関係だったり、仕事関係だったり、いろいろなことに影響していきます。私の人生がとても心地よいものになりました。」(マルシン・ジリンスキ:ポーランド)
サンチンの型の個別指導
「稽古からエネルギーをすごく感じました。また参加している人のレベルがとても高くなっているのを感じました。これだけ異なるいろいろな国から来ている人達が、こうして心を開いて共に稽古ができていることは本当に素晴らしいです。」(フェレンス・フリス:ハンガリー)
サンチンの型の個別指導
「とても興味深いセミナーでした。36年間空手をやっていますが、気の指導は私にとって初めてのことで、空手にとっても重要だとわかりました。」(バサック・ムザファー:ドイツ)
二日間の厳しい稽古と懇親会を通して、塾長による人間の本来ある力を導き出す指導を、参加者一人一人が体験し、希望をもって稽古を続けることを学んだ素晴らしいセミナーであった。
また、参加者それぞれが自国に帰り、宇城空手の稽古に励むことで、空手だけでなくその人達の生き方も良い方向へと確実に変化していることを実感することができた。
ドイツセミナー集合写真
「今回も先生がドイツに来てくださって感謝しています。ご指導いただき先生によくしていただいてとても光栄です。またヨーロッパをまとめていきなさいというお声かけをいただいて、宇城先生の空手をヨーロッパに広めることで、異なる国の方々が一同に会して共に稽古できること、それについて先生が私を信用してくださったことはとても光栄です。すばらしい雰囲気のなか、素晴らしい人、コミュニティに出会えたこと、なにより先生に出会えたことにとても感謝しています。」(ベルリン支部長 マイケル・ケーテ)
宇城空手 ベルリン支部 道場
ドイツセミナー主催者であり、宇城空手のヨーロッパにおける中心的な存在である、マイケル氏の道場を塾長が訪れた。
宇城空手 ベルリン支部 道場
宇城塾長からのメッセージ
「今回のドイツベルリンセミナーは、武術空手の深さを指導できたと思います。それはまさにセミナーに参加した人のレベルがあがっていることのあかしでもあります。私自身海外でこれだけ深い内容のセミナーができるとは思っていなかったので、非常に充実したセミナーになりました。今までの外面、形からの指導から、今回、内面と外面のつながりを中心にしましたが、内面は目に見えず言葉で表現しづらいので、私の身体をさわってもらってみなさんに感じてもらいました。
ビールやワインの味をいくら言葉で説明しても意味がありません。それよりも一口飲むことです。武術の内面も同じで、触れることによって感じることができます。触れて感性でとらえ、悟ることが大事です。
感想でわかると思いますが、現在の競技空手の行き詰まりを感じるなか、その出口がみつかったと嬉しそうにしてくれたのが何よりもやりがいを感じました。次のステップは、やはり目の見えない、時空、間の感性を高め、稽古にはいっていけると感じました。今度の10月にはハンガリー・ブタペストでセミナーがありますが、楽しみにしているところです。
またベルリン支部長のマイケルの力で宇城空手道場が設立されていました。その決意と覚悟には頭が下がると同時に、その思いにこたえたいとまた楽しみが増えました。感謝のひとことです。ありがとう。」
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