ベルリンセミナー2023 レポート
2023年6月17-18日の週末にかけて宇城塾長によるベルリン・セミナーが行われた。ドイツはもちろんのこと、イタリア、ポーランド、ハンガリーの各支部の他、アメリカからの参加もあり総数40名もの参加となった。
今回のテーマの一つは内面の重要性。前回のセミナーから約8ヶ月、その間も塾長によるZoomセッションは定期的に行われていたが、各支部・準支部長の型と分解の動画を踏まえて塾長から「ようやく内面の稽古に入るだけの準備が整った」との言葉がZoom参加者に伝えられての今回のセミナーとなった。セミナー初日の最初に塾長から内面は目に見えず、Zoomでも指導できない、何よりも一触を経て体験することが大切であるとの話しがあった。
まずはメリケンサックを打つ動画を見ることから始まり、メリケンサックをドイツに持ち込めなかったので急遽、会場となった体育館の金属のハンドルをテープで巻き、それを腹につける形の検証で実際の指導は始まった。金属を打つ、そしてもう一人の参加者の手を間に挟んで打つという常識ではあり得ない世界を塾長が示すと、多くの参加者が実際に体験したがり、動画とは比較にならない、「その場でやってみせる」、指導の持つインパクトが感じられた。
メリケンサックの代わりに金属のハンドルで実証
初日は剣とサンチン、二日目は初日を踏まえた上でのパッサイの型と分解を各国に分かれての稽古となった。
剣を使った正面の作り方、中心を作るためのサンチン。塾長は言葉だけでなく、各支部長やその生徒たちにとにかく体験させることで宇城空手が参加者がこれまで学んできたスポーツ空手やフルコン空手の延長にはないことを示した。そして「自分がどのぐらいできないのか分かることが大事」、「できない自分に対し、”なぜできないのか?”と自問し、そこに挑戦することから進化、成長は始まる」と述べた。
二日目は内面の復習に加えて、塾長から分解を通じて理合を会得することの重要性についての指導があった。「型を正しく行わなくては内面からのエネルギーは出てこない。そのための型と一人稽古だが、検証方法としての分解がそこにある。力を使わないこと、しゃくらないこと、居着かないこと、とらわれないこと、相手に自分の意図が読まれないように動かないことには技がそもそもかからない」という点を様々な方法で指し示した。また自身の身体に触れさせて違いを感じさせるだけでなく、各支部長やその生徒にも実際に1対多数でごまかしがきかない状態で「何が違うのか」について皆が体験できるように指導を行った。
その他にも列になった参加者に対し、エネルギーを真っ直ぐに伝える、横に連なった列に伝える、そのまた横に連なった列に伝えるなど常識では考えられない深い指導を行った。体験している参加者はエネルギー(気)を受けると「えっ?」という表情と共に笑顔になり、そのまま動かされていた。
塾長の思う方向にエネルギー(気)が伝わり参加者は驚きを隠せない
今回のセミナーでは参加者の質疑応答はもちろんのこと、各支部長クラスの「信じられない」というコメントが二日間の間、いくどとなく聞かれた。塾長に中心を取られると打ち込めない、ゼロ化、手の内や握りなど、「やらせのようにしか見えないけど、体験したらとんでもない」というコメントも相次いだ。その度に塾長は、「これらは鍛えてなるものではなく、型を通じて練っていく内に自然となるもの」であり、また組手では型をそのまま使うことの重要性について述べ、ただのどつきあいは我の塊であることを強調した。
中心を取る組手、相手は全く塾長に入れない
ヨーロッパセミナーも回を重ねてきただけあって参加者の中には明らかにより柔らかくなり、宇城空手の深さの第一歩に向けて準備が整っている参加者もいた。年に2回しか塾長の指導を受ける機会の無い中で、参加者たちが次回のセミナーまでより勉強できる課題を持ち帰れるよう、宇城塾長は二日間を通じて惜しみ無く何度も技をかけ、細かな型の指導を行った。塾長の技を受けた人間が思わず笑顔になる宇城空手の特徴である姿が数多く見られた。
懇親会でも各支部とその生徒たちが同じテーブルで塾長の話しが聞けるよう工夫され、宇城空手を学ぶそれぞれが塾長の元、大きなファミリーを形成していることが実感できた。最後には互いに握手を交わしながら次回、10月のローマでの再会を誓う形でベルリンセミナーは幕を閉じた。
感想文
■チャバ ドイツ
まだとても消化できていませんが、とにかく驚きました。そこに平和の感情、心があるのが感じられたからです。先生が気を発せられる時、そこに調和が感じられ、心がすごく落ち着いていくのを感じました。受け取ったメッセージはとにかく調和、平和に尽きます。緊張を解きはなち解放してくれるような。
■ネド ドイツ
武道を体験するのは初めてです。私自身武道はやっていません。いままできいてきた武術や格闘技の印象は、もっと硬いというものでしたが、今日学んだ型では、やわらかいことが可能なことを知りました。内面が動かされるのが驚きです。腕相撲では、身体全てが感じました。おなかがもまれるような感じになりそこから全身に広がるような感じでした。それを腕相撲で体験したのは驚きでした。私が学んでいる気はゴールは同じかもしれないですが、アプローチがちがいます。私が学んでいる気は、システム化されていなくて、体操みたいな感じです。宇城空手には型があります。私は型が初めてでわかりませんでしたが、最終的には同じゴールを、目指しているというふうに感じました。
■ミハエル・ケーテ ドイツ支部長
スポーツ空手から武術空手への変更は、2014年、ニューヨークのセミナーで初めて先生に出会った時以来でした。師匠にも組織にもいろいろ問題があったので、それ以来フルコン空手をやめる決意をしました。宇城先生に学び宇城空手を学ぶようになって私の人生は変わりました。落ち着いたし以前よりも自己制御ができるようになり、自信も芽生えました。仕事でも人間関係がよりスムーズにできるようになり、従業員はそういった私の変化に気づき、それがどこからきたのか不思議がっていましたが、それはやはりスポーツ空手から武術空手へ変えたからだと思います。宇城空手で学んでいることを私のすべての人生に生かしたいと思っています。自分個人だけでなく弟子たちにもそれをできる限り伝えていきたい。すべてのまわりの人がこれを身近な人を通してその変化を伝えていけたら嬉しい。今回のセミナーでは、表面ではなくその深さを見れるようになりました。淡路でのご指導をとても楽しみにしています。
■イムレ ハンガリー
とても楽しかったです。あんな凄い先生にはこれまでの人生で出会ったことがありません。先生がやっておられることを感じることができたのはとても興味深かったです。 フルコン空手 をやっていましたが、宇城空手に変えました。宇城空手はフルコン空手とは全く異なりました。
■ラズロ ハンガリー
初めて参加しました。フルコン空手を20年やってきました。フルコン空手と宇城空手は全然違うのは、前者は衝突で後者は調和していること、そこが学びたいと思ったきっかけです。すべてがすごく勉強になりました。新しいこともたくさん学べました。また今回新しい居合の型を二つ学べたことが嬉しかったです。エネルギーも感じられるようになって、重さを感じました。フェレンツ準支部長が先生に教わっている時、こちらにもそのエネルギーが伝わってきたのがすごかったです。
■フェレンツ・フリス ハンガリー準支部長
2019年のハンガリーセミナーの時に宇城空手に出会いこれからいろいろな変化があるのではないかと感じました。理解したことは、武術空手とスポーツ空手はミックスるすことができないということです。宇城空手に出会うまでは、それまではスポーツ空手(の組織)の役員だったのですが、ハンガリーセミナーを終えて、これまでの空手をすてて、先生の武術を学んでいこうと決断し、次のステップに進みたいと思いました。そこにコロナがきて、今までの組織の役職もなくなっていろいろ考えることができ、様々な新しいことを考えられるようになりました。 コロナが終わっていろいろ再開してみると、武術の稽古のほうが自分にあうようになりました。
稽古の時に助かったことは、息子がいたことです。息子の考え方や見方、動き方は自分と異なっているので、それが自分勉強なったし、一緒に稽古してもらってよかったと思いました。生徒たちとの稽古はいつも力になるし刺激になります。
最近フルコンのイベントがあって、国際ハンガリーのフルコンのイベントがあった、その時にK1とか合気道と様々な格闘技の人たちがきたのですが、その動きを見ると、武術空手の動きと全然ちがっていました。そこで思ったことは、彼らは彼らで何かを求めているけれども、悪い方向にいってしまっている。やはり宇城空手をやることは一番成長になると確信しました。
宇城先生がいらっしゃらない時は、マイケルやとかポーランドの皆さんと稽古をすることがとても助かっています。でも宇城先生がいらっしゃるのが一番の稽古になるので、それを一番大事にしたいと思っています。 昨年3年ぶりに先生にお会いできて、その時にたくさんのご指摘をいただき厳しくご指導いただいたことは、私のパワーになり、これからももっと変化していきたい、成長していきたいというきっかけになりました。
■トマーシュ ポーランド
セミナーに参加するのはこれで5回目です。若い時はキックボクシングや太極拳をやっていました。今日、先生に学びまたあらたなステージをいただいたように感じています。私は気のエネルギーに興味があっていろいろ本を読んだりするのですが、本日確信したことは、エネルギーは、非常に高貴な力としてそこにあって、私の心と体を開かせるものであること。私が求めるネルギーとか宇宙への興味は、まさに先生がやっておられることであり、すごく興味があります。宇宙のエネルギーは、頭で説明することはできず、心を開くことで理解できますが、宇宙が自然にそうさせてくれる。宇城空手を学べば学ぶほど、いろいろな発見がたくさんあることを教えてくれています。
■パヴェウ ポーランド
宇城空手を学びはじめてからは徐々にいろいろな変化が自分にありました。柔らかくなったことも一つですが、内面も変わってきました。周りの人たちと以前より調和することができるようになりました。今回も参加でき先生に直接学ぶことができ、とっても幸せです。
■マルチン・ジリンスキー ポーランド準支部長
ZOOMでの指導は本当に貴重でした。先生とは直接ご指導いただく形ではありませんでしたが、先生の説明は本当に貴重で、ありがたかったです。
今回も先生にご指導いただけてとても嬉しいです。先生にお会いするたびに、いつもたくさんの新しいことを学びます。その詳細を学ぶなかで宇城空手がいかに深いものであるかに気づかされています。先生はいつだって初めてお会いした時のように私を驚かせます。先生がいつも私たちに個人的なアドバイスをくださることが、とてもありがたく感謝しています。
■フェルナンド イタリア
私は24年間別の空手をやってきましたが、宇城空手を学んであたらしい世界を知りました。私の考え方も変わりました。以前はもっと否定的で感情的だったのですが、宇城空手をやってからもっと落ち着いて、人との接し方も変わりました。この空手は学ぶのはむずかしいですが、これをずっと学んでいきたいと強く思っています。現在66歳ですが、本来の強さをまなぶために続けたいと思っています。
■エマヌエーレ・アルゼンチーノ イタリア準支部長
10年前から宇城空手を学んで以来人生においてもたくさんの変化がありました。宇城空手を学ぶことで人生が変わり、相手とぶつからないし、日常でも見方がかわりました。もっと落ち着いてバランスがとれ、人生が変わりました。悪い癖を指摘いただいたのでそれをなくすように次回までに努力したいです。宇城空手を学ぶことで弟子たちに、子どもたちに伝えていきたい。一番むずかしいのは、若い人たちがこの本質を教えていくことですが、そのためには私自身がもっと勉強しなければなりません。
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