2023年 創心館幹部合宿レポート
淡路島創心館総本部道場にて、7月13日から7月17日までの5日間において、創心館幹部合宿が行われた。
幹部合宿は通常2泊3日で実施されて来たが、今回初めて4泊5日の実施となり、宇城館長の下に両師範、全国の塾生、そしてドイツ、アメリカの海外支部からも参加があり、総勢30名の参加となった。
初日13日の冒頭で宇城館長から日本刀二振と日本刀による型を見せて頂き、真剣が醸し出すエネルギーを全員で体感出来た。そして組手の組み合わせ後に、今回合宿のテーマとして、型から基本分解組手、応用分解組手へと展開していく上で、「理合い」について学び体得する事の重要さについて話しがあった。
従来の空手では「理合い」はなく、剣の修行から空手の中に「理合い」を取り込んだ宇城空手を修行する事によって、相手に入り間を制する事を目指していく事。そして理合いに向けて基本となる、姿勢と動きについて、肩、背中、関節、運足、呼吸、肚などについて、一つひとつ館長から指導があり、館長自身の身体に全員が触れる事で、内面の働きを感じ、それを自分自身の身体に取り込むべき基本や型の稽古を行なった。特に注意すべき事として、しゃくりやねじれのある動きは相手につけ込まれ入られてしまう事もあり、それを無くすべく、ゆっくりとスローモーションで、且つ瞬発力はそのまま残しての武術的なスローモーションの三本移動組手や型稽古を繰り返し稽古した。
2日目14日から4日目16日までの午前と午後の時間帯枠に、基本稽古、木刀稽古、五つの型(サンチン、ナイファンチ、クーサンクー、パッサイ、セイサン)の型稽古、基本分解組手、応用分解組手の稽古を割り振り、割り振られた型を中心に、型、基本分解組手、応用分解組手の稽古を行なった。今回参加者全員が、一人ひとり個別に型や分解組手を宇城館長の前で行い、宇城館長から間違いや癖の指摘と指導を受ける事が出来た。また、木刀稽古において、打ち込む本人の後ろに相手が立ち、転身して相手を捉えて打ち込む稽古では、理合いがある場合と理合いが無い場合とで、相手にどのような変化がおこるかを検証し、正しい理合いのとれた打ち込みでは、相手だけでなく周囲に立つ全員が無力化(ゼロ化)される事を宇城館長の打ち込みから体験する事が出来た。
連日の稽古後、コロナ禍において館長と話をする機会が限られていた海外メンバーを中心に懇親会が行われた。通訳を介し、宇城館長から多くの事を学んだ様子であった。
また塾生同士、武道談義を通じあらためて信頼関係が構築された。
最後に、宇城館長より「なぜ宇城空手を修行するのか」という話しがあり、世界中で戦争や自然災害などによる混乱と衰退へと向かう時代の中、人々は益々対立や孤立の道に向かっている。そんな時代を生き残り、幸せになる為には、宇城空手が教える「調和」や「共生」の心と身体を身に付け、エネルギーを高めながら創造性や協調性に富んだ人生を歩んでいくしか道はなく、自分達の世代よりも、特に子供達、孫達など次世代の人達が宇城空手を修行し普及していく時代へと繋いでいく事であり、塾生一人ひとりが、修行する宇城空手を各々の日常に実践していく事の重要性を述べた。
塾生全員がその事を胸に刻み込み、お互いの再会を誓いながら、淡路島創心館総本部道場を後にした。
創心館空手道東京実践塾
片岡哲二
感想文
■ニューヨーク支部長 マーク・エイブラムズ
宇城先生
この度は幹部合宿に参加させていただき、ありがとうございました。
まず最初に、私がこれまで経験したことのないような、武道における最も濃密な学びの経験を作ってくださった先生に感謝したいと思います。私はまだすべてを処理しようとしており、宇城空手の稽古を通して経験した多くのメッセージに、これからも気づいていくことでしょう。
自分の稽古のレベルが、次の一歩を踏み出すためには、いかに厳しさに欠けていたかを認識できたことに、謙虚な気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。まずは自分の中心を真っ直ぐに保つことから始まると思います。そして筋肉への依存から解放される方法を見つけなければなりません。自分では柔らかくなったと思っていましたが、まだまだ先は長いことを実感しました。これからは剣の稽古に一層励み、正確な真っ直ぐの中心を維持し、剣の動きの鋭さを身につけながら素手の動きに応用できるよう身に付けたいと思います。
また他の参加者の方々からも真摯なフィードバックをいただいたことにも感謝しています。ミハエルとジーナの大躍進を、そのレベルに追いつき、いただいている自分の段位に見合った実力を発揮し始めるためのさらなるモチベーションにできたことに感謝しています。
宇城先生の教えを生活の中で実践できるよう、より一層努力していく所存です。榎本師範がシアトルにいらっしゃるまでに、そして10月のローマまでにはさらに大きな変化が起こるように努力します。
■シアトル支部長 ジョシュ・ドラックマン
宇城先生
今回の幹部合宿は、これまでに経験したことのない集中的な学びの場でした。先生がこの5日間のセッションに多大なエネルギーとお考え、そして詳細を注いでくださったことに感謝しています。これまでとは変わったと感じ、自分の空手修行に対する目的意識とビジョンがより鋭く明確になりました。
先生の中心と三角のご指導は特に重要で役に立ちました。それらは自分の型、木剣、そして腕受け突きや三本移動などの基本に対する理解を大きく変えました。中心を発展させることが、空手全体の理合にとっていかに不可欠であるかがよく分かりました。 このパワフルで基本的な指導に深く感謝します。
幸運なことに5日間にわたり、先生から直接、明確にそして厳しく、幾度となくご指導いただきました。日本から帰国してからの私の責務は、先生からのご指導が自分にもたらす変化の機会を忘れず失わないよう、すべての瞬間、すべての内容を思い出し記憶することです。
私が受け取った最も重要な収穫とメッセージは、自分の空手と稽古に対する考え方が根本的にずれていて、失敗しているということです。
回し取りの分解で投げが出来るのは、型がきちんと出来ているからであり(正しい感覚、型、入り方、守り方など)、単純な練習などで分かるものではないことが分かりました。ミハエルやジーナ、そしてもちろん先生から理合のある型の例を見ることで、自分の型や空手に何が欠けているのか、何を目指すべきなのか、より良い感覚を得ることが出来てありがたかったです。
努力やハードな稽古だけでは明らかに不十分です。私の半分の年数と半分の努力で空手に打ち込んでいる人たちが自分より遥かに進歩している。自分のやり方と向き合い、反省し、変えていくことが不可欠です。私は自分自身に対して、そして支部長としても、そうする責任があります。私はこれらの生徒たちがどのように稽古しているかを観察したり、質問したりしましたが、彼らの稽古のいくつかを取り入れることで、自分の稽古を向上させることが出来ると信じています。
空手で求められるより厳しい基準を満たすために、稽古のやり方を変えなければならないことは明らかです。合気道や他の武道での過去の甘い基準が、私が空手を追求する上で真剣になることの邪魔をしていることを受け入れ、同意します。
私はこの厳しいご指導に感謝し、その真実を受け入れます。 私は自分の稽古に必要な変更を加えるよう努力します。より良い結果を出すためには、ただハードに稽古するだけでなく、より賢く稽古する必要があると実感しています。
先生のおかげで、淡路での5日間で未来の地平線を見ることが出来ました。この未来こそが自分自身、そして北米の次世代の生徒たちに望むものです。この未来を実現するために、これまで以上に努力する所存です。
また、ジーナの躍進と彼女が私たち皆に理合を披露することが出来たことに、言葉にならないぐらい喜びを感じていることを付け加えさせてください。先生が皆の前で検証させた後、彼女は一瞬にして変わりました。知り合ってから30年以上経ちますが、今の彼女には見たことのない自信と幸福感があります。彼女は武道においても人生においても、身体的な困難のためにとても苦労してきましたが、先生のおかげで今はとても幸せで自信に満ち溢れています。彼女は間違いなく私とシアトル支部にとって、次のレベルに到達するための大きな力を発揮してくれることでしょう。
最後に、宇城先生や支部長、幹部の皆さんとこれだけ有意義な時間を過ごせたことは素晴らしいことでした。今まで感じたことのないような形でみんなとの絆を感じ、今は本当に家族だと感じています。
■ドイツ支部長 ミハエル ケーテ
宇城先生へ
空手の稽古に参加させていただき、まずはじめにこの特別な合宿に参加させていただく機会を与えてくださり、心から感謝申し上げます。
先生のご指導内容は非常に幅広く、深い内容であり、心から敬意を表します。エネルギーの流れや身体の統一、姿勢が自分の空手だけでなく、日常の生活や仕事にどれほどの影響を与えるかを学び、これからも積極的に取り入れていきたいと強く思っています。型から生まれる技には、まだまだ習得するべき点が多くあることを痛感しました。そして、「投げ」の分野で得た経験は、自信と無限の新たな気づきをもたらしてくれました。
先生との何度もの接触により、内面の動きをより感じ取ることができ、それを日々の稽古に取り入れています。
「先を取る」という概念も、先生からより深く理解できるようになり、今ではより具体的に取り組むことができるようになりました。全体的に言って、他に類を見ない、非常に有益な合宿で、素晴らしい雰囲気の中で先生からの素晴らしい教えを受けることができました。この一生に一度の経験を与えてくださり、心から感謝しています。
よろしくお願いいたします。
■シアトル支部 ジーナ・ドラックマン
宇城先生
今年7月の淡路道場合宿に参加できたことを光栄に思い、感謝しています。 淡路道場はとても特別な場所であり、この合宿は少人数であるため、先生は大人数の合宿よりも深く指導することができます。先生は過去に「潜在意識のレベルで学ばなければならない」と私たちに教えてくださいました。私は大きな合宿で、先生が潜在意識のレベルで私に向き合っているように感じたことがあります(「急かすつもりはないが、いつになったら変わるつもりなんだ?」と言われた時など)。
合宿ではまず、宇城先生が5日間で取り組む様々な型を示してくださいました。その中で、自分の正面から相手に向かって三角を作るという教えがありました。これは木剣を持っていると自動的に起こることに気づきました。
その他に先生が強調されていたのは、自分の身を守り、中心から取り組むことの重要性でした。 このことは、数年前に先生が教えてくださったことを元に姿勢を正してきた私にとって、とても心に響きました。 これは木剣の型、特に諸手突きの稽古で感じられました。先生は私の姿勢が変わっていることに気付かれ、前に私を呼び出して集団に向かって剣を振るようにと仰いました。 中心を意識しながら、グループの一番後ろの人を切ると、全員が気を感じました。 先生が皆に腕を組ませて私と向き合わせ、私が木剣無しで皆に向かって水平に切った時、驚いたことに私は気を使って皆のバランスを崩すことが出来ました。ミハエル・ケーテが同じようなことを先にやっていたことが自信につながったのだと思います。先生は、ミハエルと私が共に理合を持っていたからだと仰いましたが、それは宇城空手の原則と調和していたからだと思います。先生はまた、私が剣の振り方を使って理合に入る方法を見つけたとも仰いました。
それから先生は、人が持っている畳を気で回してみるようにと仰いました。 最初は指でマットに円を描いてやってみましたが、筋肉を使いすぎて上手くいきませんでした。先生が畳に触れずに円を描けることを教えてくれた時、グループが動き出し始めました。空手として使えるにはこの理合に武術を加える必要があると仰いました。そして先生は、畳を持ったグループに向かって腕受け突きをしながら自分の身を守るように仰いました。ここでも私は成功し、先生は予想外だったと仰いながら、これでもう言い訳は出来ないと仰いました。様々な場面で自分の空手が通用するようになるには、まだまだ長い道のりがあることは理解していますが、これらの経験は、私が宇城空手で進歩できるという希望を本当に与えてくれました。先生のご指導と忍耐強さに深く感謝しています。
もうひとつ言っておきたいのは、先生が最後の木剣の型である五本目の四方切りをご指導いただいたことです。先生の剣術がどのように空手に活かされているのか、その一端を垣間見ることができました。姿勢の練習に加え、全カリキュラムを毎日稽古したことが、とても役立っていると感じています。 また、武術の稽古に対する考え方がより真剣になってきたと感じています。これは先生の教えと、自分の限られた命と残された時間の中で成長しなければならないという自覚のおかげです。先生にお会いする度にその教えの奥深さに感謝しています。
■ドイツ支部 イエンス・アッカーマン
宇城先生
ここ数年、日本を訪れ宇城先生の稽古に参加するのは常に特別な機会でした。その中でも今回の淡路合宿は自分の想像と期待を遥かに超えるものでした。
自分自身がまだ「路を歩み始めたばかりの生徒」であることは承知していますが、数多くの素晴らしい学びを今回の合宿で得ることができました。先生と他の参加者から発せられるポジティブなエネルギーに深く感銘を受けました。
私が今回新しいレベルに達したのかは分かりませんが、身体、心、魂の関係性とその理解はより一層深まり、自分のさらなる進歩にポジティブな影響を及ぼすことでしょう。宇城先生に深く感謝します。
宇城ファミリーの一員に迎えていただいたことを非常に嬉しく思い、今後、さらなる稽古と学びの機会があることを楽しみにしています。
改めて今回はありがとうございました。
■K.H 東京 自営業
宇城先生
この度は昨日までの5日間に渡り深いご指導をいただき誠にありがとうございました。先生のご指導を受けるたびに宇城空手の次元の高さ、深さ、そして果てしなく広がる可能性に毎回驚嘆と感動いたします。
5日間通して「理合いとは、武術空手、宇城空手とは」ということをさまざまな角度からご指導いただけたことに深く感謝申し上げます。そしてその一方で自分がいかに甘く呆けた状態で稽古に臨んでいるかが分かりました。
先人達が命掛けで磨きあげた武術を宇城先生が同じく命をかけて発展させ更なる上の次元の武術へと昇華させ創り上げた宇城空手を学ぶだけの資格が無いなと自答せざるを得えませんでした。稽古全体を通して最初から最後まで自分は全く何もできていないことの自覚の連続でした。
初日からマイケルさんと組ませて頂けたことも学ぶことが多く誠に感謝致します。今回の稽古の中で理合いに焦点を当てたご指導の中で彼と一緒に稽古ができましたことは貴重な時間であり、そこから少しでも何かを学びなさいと先生は私に伝えようとしたのだということが次第に分かってきました。型はその中に武術としての理合があってこそ使えるようになり活きるのだということをご指導いただきました。
様々な理合がありますがどれでもいい、一つでも身に添えればそこから次へとその理合が導いてくれるのだということに改めて気付きました。先生の「道は一つではない」とのお言葉はそのヒントであり励みです。マイケルさん、ジーナさんを見て時間ではない、ただ年数を重ねただけでは宇城空手を身につけられるものではないということが改めてよく分かりました。しかしそれ以上に他流とは全くの別次元の宇城空手を稽古する上で自分は何もできていない、できない、それはまだしもご指導を受けるための心構えと真剣さが自分は全然話にならないと痛切に感じました。
先生が稽古中に自分達に何をご指導しお伝えしようとしているのかが理解できるまでのあまりの遅さ、鈍さと目盛の大雑把さに呆れます。果ては先生があれだけ丁寧にご指導くださっているにも関わらず理解できない。つい今までの洗脳状態のまま自分の脳の範囲で理解しようとしてしまうことから中々抜け出すことができません。身体は正直であり我々は皆、できる自分を持っていることを先生に気付かせていただいてます。できない自分にしているのは自分の思考の癖であり身体を疑う脳であり洗脳と知識です。自分です。そこから抜け出すためにはどうすればいいかは既に先生からその種を我が身に頂いています。
それを発芽させ育てるには自分を変えるしかないと改めて強く思いました。また、武術の本懐は「守ること」であるとご指導いただきました。守るためには自分からの攻撃は返って邪魔になります。武術はスポーツではない。守るための防御でありその為のやむを得ない攻撃であると思いました。相手と対峙した時、構えるのは既に衝突であり怯えている証拠です。
組手でどんなに突きを当てようが投げようが実践で身を守ることができなければ意味がなく、組手のための稽古であってはならず組手も一つの過程、検証でありその中にも理合いがなければならないと気付かせていただきました。そして最終日の創太君との組手はとても学び多く衝撃的でした。拳の重さや速さはもちろんですが怯まず真っ直ぐに入ってくる速さと強さは宇城空手と先生を信じて疑わない心がブレない身体の元かと思いました。そしてしゃくらない、素直な身体とはこんなにも強く重く速いのでありそこに理合いも存在するのだということを我が身体で学ばせていただきました。
お忙しい中、5日間に渡り貴重なご指導をいただき多くの学びをいただきました。できない自分を確認する連続ではございましたが今まで全く理解できていなかった理合について日々の稽古でも常にそのことを心に置きながら稽古せねば意味がないことに気付けましたことはこれからの日々のひとり稽古への大きな励みとなります。
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