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京都実践講演会が開催されました

去る2023年8月11日(金・祝)、京都市中京区にあるハートピア京都にて、宇城憲治塾長の京都実践講演会が開催されました。当日は、関西方面を中心に、大人、学生、子どもを含め95名の方が、一人の欠席者もなく参加、3時間半にわたる熱い実践講義が繰り広げられました。




「我々の直近の生みの親は両親ですが、人間として捉えた時の生みの親は宇宙です。我々は宇宙の“かけら”として存在していて全ては宇宙の下、一体であり、その宇宙とのつながりの中で我々人間は潜在力を発揮することができます。今日はその方法を体験していただきたい」


実践講義はまず3人対4人の帯を使っての綱引きの検証から始まりました。通常数が多いほうが勝つのが常識で、実際にやってみると4人側が圧倒的に強いことがわかります。ところがそこへ、塾長が3人側へ気を送ると、3人側の帯がゴムのような状態になり、結果は先ほどとはうってかわって3人が4人を簡単に引っ張り込むことができました。

この今までの常識とはまったく異なる結果に会場がどよめくなか、塾長はその理屈として分かりやすい「タントラ」という大乗仏教の発展的な修行法のあり方と、あり得ないことを体験した時の私たちの三つの受け取り方パターンを紹介し、この日の参加者の大切な学びのポイントを指摘しました。

私たちは先ほどの検証のような今までにないことを体験した時、その受け取り方として、自分の知識に照らし合わせて捉えようとします。しかし、当てはまるものはありません。したがって、受け入れられずに捨ててしまう。しかし塾長はそういう実証体験を観察することによって、自分自身を変えて自分に取り入れるべく変容していくことが大事なんだと言います。それが進化です。


先ほどの綱引きの例で言えば、受け取り方の三つのパターンのうち二つは、4人側が当然力が強いから勝つのが常識だとして、3人が勝ったという事実を目の前にしても「疑う」、あるいは「受けいれられない」というあり方です。三つ目のパターンは、この新しい体験をきっかけにして「自分を変容させる」方向に向かうというものです。

まさにこの三つ目のあり方こそ、この実践講演会で学ぶための大切な姿勢であり、塾長はさらに腕相撲の検証で、そのことを具体的に諭していきました。


1対多数の腕相撲は「当然無理」と誰もが思うところですが、塾長はまずそれを一瞬で倒すという実践をやってみせます。そのあとで数人の参加者がやってみますが、まったく倒すことができません。それを可能にする技法として、困った人に寄り添うという調和力の初歩的技法、すなわち、この時はお腹が痛い人に「大丈夫ですか」と声をかけてから腕相撲をするという方法を示すと、参加者は倒すことができました。


塾長は、頭の知識ではなく、実際に体験することで理解できることがあることを「脳のONとOFF」という言い方で説明していきました。すなわち、脳が働いている「ON」の状態では身体が逆に「OFF」になって、本来の力が発揮できないが、脳が「OFF」の状態になると、心が優先され、同時に身体が「ON」になって潜在力が発揮できる。この検証では、人に寄り添うことで脳がOFF、身体がON になって先ほどとは桁違いな力を発揮することができました。塾長はこのように理屈や知識ではなく、具体的な「技法」を与えることで、参加者に「できる」を体験させていきました。

 

このあと塾長は様々な検証で、寄り添うと力が出るあり方や、エネルギーある本からそれを自分にうつしていく方法などを体験させていきますが、今回は野球をやっている参加者が50名近くいたこともあり、実践指導では野球を例に展開される場面が多く見られました。


以下、当日の講演会の様子を写真と動画で紹介します。



【4人対3人の綱引き】


塾長が3人側に気を送ると・・・・

3人側が勝つ



1対多数の腕相撲

押さえる人がおんぶをして重さを増しているが、軽々と腕を返す塾長




【参加者が「寄り添う」ことで1対多数の腕相撲に挑戦】


まったく返すことができないが・・・・

具合の悪い人に「大丈夫ですか」と寄り添うと・・・・

今度は腕を返すことができた





【動画】「寄り添う」ことで投球コントロールが定まる






【動画】エネルギーを受け取ると投球コントロールが定まる








前半は、講義を聞く姿勢が正されていなかったり、三角座りをするなどする学生が多くいたが、講義後半ではほぼ全員があぐらか正座をして話を聞く姿勢となり場の雰囲気に大きな変化がみられた。




 野球をやる学生が多く参加したこの講演会では、塾長はとくにスポーツにありがちな筋力に頼る在り方や、勝ち負けにこだわる在り方、あるいは受験勉強といった知識に偏る在り方が、いかに本来の能力の発揮をさまたげるか、またそういったあり方が社会に出てからの人間力につながらないこと。今の教育システムがそうなっている以上、そこに押しつけられたままにされずに、学生であっても自らの力で気づき考え変容し、エネルギーを生み出す大切さを、厳しく問いかけていきました。


「未来の希望をつくる人間、世界で通用する人間を育てていくのが宇城塾です。皆さんは野球を通して自分の未来、いやもっと先の、自分たちが家族を持った時の未来、さらにその先の未来を、「今」というあり方を変えることで守れるようになっていただきたい」


厳しい言葉のなかにも日本の未来を見据えた、やむにやまれぬ塾長の思いと若い人への愛情があります。3時間半という限られた時間でしたが、この実践講演会が一人でも多く人の、未来を守るための気づきにつながることを信じています。


以下は、季刊『道』217号で宇城塾長と対談された大阪産業大学野球部監督の宮崎正志氏からの、東北ボランティア遠征の宇城塾長への報告です。ここにまさに、宇城塾の「寄り添う」実践があります。

以下に宮崎氏からのレポートをご紹介いたします。




なお、当日の午前中には宇城塾長による「2023年度 第2回教師塾」が同会場で開催されました。

教育とは教師自身が進歩し続けること。まずは大人が、教師が変わる。 自身の成長に向かって真剣に取り組む教師塾生の決意、思いに触れていただきたいと思います。



以下に、実践講演会参加者の感想を紹介いたします。


 

参加者の感想

 

●奈良 高校生 15歳

宇宙からエネルギーを受け取り、反発するのではなく調和を目指すことの大切さが分かりました。

自らの中心をしっかりとして日本の未来が明るいものとなるように、講演会で学んだことを活かしていきたいです。

このような機会をいただけて本当に良かったです。ありがとうございました。


●大阪 大学生 20歳

頭で物事を考えるのではなく、体全体で感じることが大切だと感じました。自分は一点しか見れないところがあるので、もっと全体を見れるようになりたいと思います。ありがとうございました。


●奈良 高校生 15歳

横着ははやく捨て、謙虚に素直になることが大切だと気づいた。

横着は事故が起きた時、手遅れになる――

今日の講演会はとてもためになりました。


●大阪 大学生 19歳

自分の力を100%使えていないことを知りました。

何事も頭で考えてしまうので、今後意識を変えていこうと思いました。


●大阪 大学生 20歳

本日は野球をしている方が多く、野球に関することをたくさん教えていただきました。

今日の講演会への参加は数回目になりますが、毎回のように新しい感覚を知ることができるので、野球にどう繋げていこうかと考えが止まらなくなります。本日はありがとうございました。


●奈良 高校生 17歳

人間には素晴らしい力があることを知り、“間”をまう自分でつかみ、人と人のつながりを大事にしていこうと思いました。


●愛知 高校生 16歳

今私たちの中に眠っているまた、もう失われてしまった「潜在能力」を気づかせてくれる今回の実践講習会は私の中でとても貴重な経験となりました。

講習会の冒頭で教えてくださった「脳をONにするのではなくOFFにする」ということが今までにない考え方で最初理解できませんでした。帯を両方から引っ張る実践では宇城先生は脳をOFFにすることで現在、過去、未来が一つになり、自由自在に帯を掴んでいた数人の人を動かしていました。このことから頭で考えると逆に思考が停止してしまうしかし、身体で感じとり相手の隙に先に入ることで潜在能力というものを引き出すことができると気づくことができました。私は剣道をやっていて、試合では「打ってやろう」「勝ってやろう」などと頭で考えていました。しかし、これは競技的な剣道になってしまい、本当の剣の道を進むことができないと実感しました。

宇城先生が私の竹刀で構えた状態を見て、体が浮いている、右前腕の内側が見えすぎているなどとご指摘を受けました。私の竹刀の構え方は本物の刀を意識せず、どこか心の奥底で竹刀だから大丈夫と思い、自分に刀が向いておらず「気」が全くない状態であると気づくことができました。 この講習会で学んだことを剣道や今後の生き方に生かしていこうと思います。


●奈良 高校主幹教諭 50歳

野球部員と一緒に参加させていただきました。

人に寄り添う、あいさつをする、礼をするなどの大切さを実感させていただきました。

新チームになり、勝ちたい、結果を出したいが一番に出て、部分体で、力が入ったプレーをして、うまくいかないとごまかす、下を向く、てれ笑いをすることがチームに見えてきたところでした。

今日の講演会で結果よりまず自分が99%の脳以外の大切さを一番にして行動していきたいと思います。本日はありがとうございました。


●岐阜 自営業 40歳

子供にとてつもないエネルギーと調和の力があり、子供に触ってもらうだけでも強くなる、を実感させていただきました。

先生のお話や本は、すべての日本人が知らないといけないことだと感じていたので、妻と子供と参加できてとても嬉しかったです。

とくに子供には大変な時代を生きさせてしまう可能性が高いので、自力本願を強く、調和して生きられるように見守っていきたいと感じました。


●奈良 教員 45歳

京都実践講演会において御指導いただき誠にありがとうございました。積極的に手を挙げる小学生。挑戦しようとしない高校生。当てられてではあるものの、質問する小学生。何の質問もない高校生や大人たち。すぐ変わる子どもたち。なかなか変わらない高校生。この現状を私たち教員は深刻に受け止めなければいけません。なぜなら、生まれながらに完成形である子どもが、大人になるにつれてその本来の能力を失う原因が教育、大人が生み出す社会不安にあるからです。


宇城塾に学ぶ者は、目の前の子ども、自分の子どもに接するときは点数での評価、学歴での評価を一切捨てなければなりません。また、その子自身の放つエネルギーを見る目を養わなければなりません。加えて自らがエネルギーを放つ身体でなければ子どもの放つエネルギーをキャッチすることができないだけでなく、子どものエネルギーを削ぐこととなります。


自分自身のエネルギーを高め、日々成長、進化、深化していくことが子どもたちのエネルギーとなっていきます。それが「生きる」ということではないかと思いました。しかし、私は昨日の高校生と同じで宇城先生の気を閉じてしまう癖があります。せっかくいただいたピースを自分の経験にはめ込もうとするが、はまらないためいただいたそのピースを省いてしまいます。自分のエネルギー高めるとは、身体をONにして頭をOFFにすること。そのために、もっともっと真摯に宇城先生にまなばなくてはならないと感じました。

高校生の身体と大学生の身体。その違いに指導者のレベルがあるなら、今の私にとっては、自分の子どものためにもっともっと成長(統一体になる)しなければ、子・孫にそのしわ寄せがいきます。そうなることがないよう、日々の一人稽古の質を高めていきます。より進化した自分になるためのエネルギーいただき誠にありがとうございました。何度エネルギーをいただいても、時間の経過ととともに動かしていただいた時間を止めてしまいます。それは自分が頭での学びだからです。いただいたエネルギーを絶やすことがないよう一人稽古に励みます。

この度の御指導誠にありがとうございました。今後とも御指導よろしくお願い致します。





 

【レポート】 大阪産業大学野球部 東北遠征ボランティア


野球部監督 宮崎正志

 

今回の東北遠征では、現地で4名の被災者の方とのご縁を通して学生たちにそれぞれお話をいただきました。ここが私の役目だと思って続けております。今回は、初めての学生が多かったのですが、その中で8名は昨年も経験している学生でした。


今回の4名の方には、直接現地をご案内いただき、お話を伺う機会をいただいたのですが、「自分の命は自分で守る」ということをそれぞれが言われておりました。それが人に寄り添うことに繋がる。宇城先生が常々ご指導をいただいていることと重なり合いました。(そういったことを非常に多く感じる今回の遠征でした)


今回の遠征では、初日には南相馬市でのボランティア活動をさせていただきました。そのボランティアセンターを震災後ずっと守り続けておられますセンター長は、既に70歳は超えておられますが、そのセンター長には、毎回「依頼先の中で、手付かずで、一番しんどい活動場所をお願いします」というお願いをしておりますので、現地に着くと今回も「監督、一番しんどく、大変なところを用意してますよ(笑)」と言われました。


到着して活動前にはボランティアセンター内で、震災時の状況や現状など、センター長の思いをお話いただきました。それから活動場所へ移動して活動が始まりました。道も何もない背丈以上の草が生い茂っていて先が見えない場所、どこから手を付ければいいのか分からないような、、、学生達に考えさせた中で活動が始まりました。まずは「道をつくる」ところから、、、途中どんどん続ける中で変わっていくのが分かりました。普段の野球の中ではこういったスピード感はありません。現地でのこういった活動では、「誰が、、、」という人任せの感じもなく、それぞれが率先して動き始め、気づけばチームになっている、、、そんな感じがしました。炎天下の中、汗だくの中での活動でしたが、野球で出る汗とは違う、、、そんなことを感じる学生たちの表情でした。


2日目には復興試合の後に訪れた大川小学校では、当時のまま校舎が残る現地で、伝承の会・共同代表の方のご案内、お話(この方は大川小学校で当時小学校6年生の娘さんを亡くされています)を伺いました。

ご自身が震災3日後に現地を訪れた時に、変わり果てたご自身の娘さんや仲の良かった友達の無言の姿があったということをお話いただきました。まさに何十人もの遺体が並べてあったという当時の場所で気丈な姿でお伝えいただきました。また津波に吞まれながら助かった当時小学生(現在は24歳)だった若者もおられます。最後に、今の大学生と近い年代。2年前辺りから、そういった若い世代が伝えていく活動を始めているということをお話いただいた共同代表の方からお聞かせいただきました。若い世代の活動、活躍の場が増えれば、それが復興、伝承になるということもお話されておられました。

その夜には、宿舎で震災当時に鹿妻小学校という避難所で1000人以上の避難者のお世話をされ、寄り添い、守り続けられた避難所御本部長の女性の方(この方は一般主婦)のお話。。。6か月間、震災の日から自らも避難してきた避難所である小学校の体育館で被災者を守られ、最後の一人が避難所を出られるまでご自身は責任を全うされました。(私も2度、避難所の体育館に泊めていただいてことがあります)。


3日目は、海沿いにある町が全滅になった門脇地区で唯一火災に遭いながら残った門脇小学校の当時の校長先生から現地でのお話、防災の大切さ、教職員の連携の重要性などのお話を聴かせていただきました。

その中で「避難訓練」のお話がありました。各学校で避難訓練は実施しているが、門脇小学校では生徒たちは一人も犠牲にならなかったというお話の中で「日常」についての話があり、門脇小学校では避難訓練を単なる訓練としてではなく、「命を守る」ということを含め、子供たちには「真剣」に取り組ませていたというお話がありました。もちろん教職員にも同じように真剣さがあったと、、、。そして裏山に非難した後には、高学年の生徒が低学年の生徒に寄り添いながら守っていたと、、、。


このお話を伺い、宇城先生からご指導をいただく中で「真剣」「寄り添う」「守る」「生かされている」ということを学ばせて頂ていることが命に繋がるということだと改めて感じました。

理屈ではなく、「真剣さ」ということは、年齢関係はない、子どもには真剣さがある(出る)が、大人の方がその真剣さはない。。。。真剣さの根源は、捉われのない身体からくる素直さにあると感じます。


毎回、行きのバス、帰りのバスの中で一人ひとり話をさせるのですが、この6日間の中でこんなに変わるのかというくらい学生達は変わります。・・・毎回、バスの運転手さんも驚かれます。

宇城先生が言われますように、10試合をしてもこのような変化を感じることはありません。行きのバスの中では「今回の東北遠征に向けて」というテーマで一人ひとりが前で話をし、帰りには「体験、実践を通して」ということで話をします。・・・そして驚くのは、野球の試合の話がほとんど出てこないということです。・・・そこにこの東北遠征の意義があるのかと改めて感じます。






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