第9回淡路黒帯合同合宿レポート
9月14日(土)- 16日(月)、淡路創心館本部道場において黒帯合同合宿が行われた。
冒頭宇城館長は、攻撃に対する防御・反撃における無意識領域の働き、そして固体力学的な破壊から、流体力学的な息を止める武術、さらには量子力学的にエネルギーを使う宇城空手の構造をホワイトボードで説明し、これらを可能にするための稽古方法、すなわち「型によるニュートラル化、分解組手によるゼロ化」の重要性、さらにそれを組手の中で実践する必要性を述べた。
初日は天の型を中心に、相手の攻撃に対する腕受け、胸を掴み本気で締め上げてくる相手への対応、さらに横たわった状態でも同様に対処出来るか等、様々な検証を通じて、「統一体を創り、維持するを稽古」を行った。
一人の相手でも対応が難しい中、複数の相手では全く何もできない。そこで、困っている人に声をかけ、寄り添ったあとに同じ検証をすると、簡単に対処できるようになると同時に、寄り添われた側も強くなり、寄り添った人と同じことができるようになる。逆に困っている相手を無視して通り過ぎると、どちらも全くできなくなってしまう。
細かなステップを通じて全ては「我」や「欲」が無い状態で統一体を維持する事が重要であり、突いたり、投げたりするのは後付けに過ぎない事が幾度となく証明された。
同時に館長は、武術の技は馴れ合いからは決して出ることはなく、塾生同士互いに真剣に向き合って稽古をすれば、腕受け一つ満足にできていないことを、攻撃側の連続突きに全く対応できないことで証明した。一方同じ真剣さを持って館長に向かっても二の腕を封じられて全く身動きが出来なくなってしまった。「そこにある根本的な違いは何か?」合宿期間中、常に塾生に問われ続けた。
2日目の稽古ではこれらの検証に加え榎本師範、拓治師範のそれぞれのグループに分かれてパッサイの稽古が行われた。両師範より型・分解組手を通じ、一つ一つの技に対し様々な角度から丁寧な指導を受け、姿勢や所作の粗さと同時に、型の難易度の高さを認識した。
宇城館長は、「同じ出来るでも10点、100点、1000点と違いがあり、同じ出来ないでもマイナス10点、マイナス100点、マイナス1000点とそれぞれ違う。重要なのは同じ出来ないでも自分が常に進歩しているのか、それを確かめる事」と繰り返し述べた。
検証の出来、不出来で一喜一憂するのではなく、常に己自身の変化、成長が問われている事を意識し、稽古に勤しんだ。
最終日3日目の午前中は宇城式呼吸法の丁寧な指導が行われ、宇城空手のさらなる深さに触れる機会を得た。通常の呼吸、宇城式呼吸法、そして常に吐き続ける宇城式呼吸法、それぞれのステップでどのような変化が生じるかを検証を通じて学んだ。
3日間の稽古を通じて宇城館長は「人生に定年、引退は無く、塾生の一人一人が根を張った一本の木として森を創る事が大事あり、それによって日本の未来の希望となる。」と述べた。
宇城館長の弟子を厳しくも暖かく見守るエネルギーに包まれて、塾生の一人一人が課題を持って道場を後にする事のできる素晴らしい機会となった。
Comments