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「天動説から地動説へ」 ― 小林信也 道塾見学記 ―


1月21日(火)夜、東京・町田で宇城道塾を見学させていただきました。

終始一貫、宇城先生が強調されたのは「エネルギー」の存在でした。



宇城道塾は講義と実践で構成される体験型セミナー




いま日本社会は、目に見える「力」や「勢力」ばかりを手がかりに対人関係、国際関係を語ります。

基準にするのは「経済効果」「経済効率」「支持率」。スポーツの世界なら「勝ったか負けたか」、ビジネスなら「いくら稼いだか」など。

けれど実際に、宇宙を、地球を、社会を司っているのは、そのような「人間の力」でなく、宇宙のエネルギー。一人ひとりの人間もエネルギー体であり、対人関係も実際には目に見えない波動が基盤にあることを、体験を通して感じさせてくださいました。


初めての体験で印象的だったのは、「ペットボトルに半分くらい入れた水」の波動です。10人くらいがスクラムを組んだ集団に、宇城先生がぐるぐる回したペットボトルを渡します。すると、ペットボトルの中の水と同じようにスクラムが回り始めました。

次にペットボトルを縦に揺さぶって渡すと、集団は縦に揺れ、軽いジャンプを繰り返すような動きになりました。宇城先生がペットボトルに与えたエネルギーがそのまま集団に伝播したのは明らかです。



【動画 ペットボトルを使った検証】



現代の私たちは、携帯電話、テレビ、無線LANなど、目に見えない電波の恩恵を日常的に受け、電波を当然のように活用しながら、人間自身も電波を発信し受信する能力を持っている事実は忘れがちです。

宇城先生が自在に活用される《気》はその極まった形だと思いますが、その域に達しなくても、自然と「雰囲気を察する」「家族や友人の気持ちの変化を察知する」あるいは「虫の知らせ」のような感覚を誰しも持っています。ところが、人間関係を構築しようとする時、会話以前に発しているそうした波動や雰囲気を考慮せず、地位や肩書そして論理で相手を圧倒しようとする発想ばかりが優位になりがちです。

本来は、自分の身体から無意識に発せられる雰囲気(波動)こそが自分の人間性であり、日々の生き様を写す人間力と言えるのかもしれません。


もうひとつ、トランプ大統領の就任式があったこの日、宇城先生が強調されたのは、《ディール》と《ビジネス》の違いでした。

私の理解で日本語に訳せば、ディールは「取引」という以上に「全体をひとつに捉えた総合プロデュース」。ビジネスは目先の結果を追いかける「お金儲け」のように宇城先生は表現されていると感じました。トランプ大統領には様々な批判もありますが、彼の発想の土台は「ディール」であり、行動が伴っていること、一見「対立的な人」のようで、中国の習近平主席との対話にも取り組む「調和の人」であることに光を当てておられました。

私自身これから社会にどんな貢献ができるかを展望する時、「お金儲け」は考えないけれど、正義や倫理ばかりを中心に置き、一面的な正当論で発想しがちな「器の小さな自分」に気付かされました。

心を開き、眼を開き、周りと調和して生きる姿勢が自ずと自分を導いてくれるようにいまは感じます。


今回は、12月に単行本《宇城憲治師直伝「調和」の身体論 武術に学ぶスポーツ進化論》を出版させていただいてから最初の道塾でした。

拙著では、宇城先生が道塾でいま展開されている《気》のご指導の実態をほとんど伝えませんでした。現在の宇城先生の実践をそのまま書いても、一般には受け入れられないだろう、むしろ実態も見ず疑問視する空気が広がるのではないかと懸念したからです。

現在の日本社会には《気》に対する警戒感、誤解がまだ根強くあります。それは、気を語る人にもホンモノとそうでない人がいて、一般には見分けがつかない上、《気》を人の弱みや悩みに付け込む商売に悪用する者たちによる被害が起きているためでしょう。

そんな社会で、宇城先生の《気》をどう表現し伝えられるのか。一般読者には超常現象にさえ見えるだろう宇城先生の《気》の実践を書くことなく、「日常生活の習慣やスポーツ活動を通して実感できる、大半の読者に理解可能と思われるご指導を紹介する」基準で執筆しました。


出版から2ヵ月が経ち、スポーツ指導者、選手、関係者、メディアらの反応をそれとなく感じる中で、私は、「天動説と地動説」という構図を実感しています。

宇城先生に学ぶ私たちが、いくら「地球が回っているんだ」と強調しても、「天動説」(一般常識)に束縛されている人たちはなかなか従来の常識から脱却できないようです。

本の中でひとつだけ「一般には信じられないような指導」の実例を書きました。元プロ野球選手の塾生・新里賢さんが、エネルギーを込めたボールを受け取り、そのまま後方に倒れ込む話です。あの実例には、本当は次のオチがあります。

「こういう次元を持つ人が現れたら、野球という競技は成立しない」という未来です。宇城先生の次元を共有できたら、スポーツはもう成り立たないのです。

つまり、「地動説の世界」(宇城先生が実践される新しい常識を前提とした次元)では、スポーツが存在を失うという、スポーツ人にとっては悲劇的な結幕が待っているのです。けれど私は、それが悲劇だとは思いません。むしろ早くそうなってほしいと望んでいます。一部の勝利者だけがチヤホヤされ、億万長者になる。その周辺で巧妙なビジネスを展開する人や企業が勝ち組で、残り多数の敗者たちは何ひとつ恵みを享受できない。それどころかイジメやパワハラの犠牲者としてトラウマを抱え、間違った天動説を叩きこまれて心身の安定を崩してしまう。なぜそこまでして、小学生のころから長い時間と労力を犠牲にしてスポーツに打ち込むのでしょうか。


宇城先生に学べば学ぶほど、スポーツのあり方そのものに疑問が生じ、現在の「勝てばいい」「勝った人、勝たせた人が偉い」という価値観は崩れます。

私自身、スポーツライターという肩書で仕事をし、スポーツ分野を中心に執筆する立場にあって、その葛藤をずっと抱えてきました。

宇城先生からは「スポーツを批判しない」という前提を助言され、「スポーツをスポーツ道に変える」という命題をいただいて今日まで実践してきました。


今回の道塾で改めて宇城先生の実践に触れ、次の未来への思いが湧きました。

天動説から地動説へ。

言い換えれば、「筋肉」から「細胞」へ。「対立・衝突」から「調和」へ。これをどう実践し、発信する力を高めていけるか。

発信するには「できること」「実践していること」が前提です。できない者がいくら語っても、伝える力が宿らないことは、宇城先生からのご指導で承知しています。

宇城先生の次元は到底無理にしても、眼に見えない波動の送信・受信のごく入口だけでも能動的に実感できるよう歩みを重ねたいと強く感じます。


小林信也  

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